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いろ部について

「しんどくても、大変でも、勉強したい!」という気持ちを支えること

いろ部では、色を楽しく・安心して学べる環境を整える「学び場のユニバーサルデザイン」を進めています。
これは、いろ部の活動を始めたときから大切にしてきたことです。
去年の7月には、いろ部がおこなっているサポートについてWebサイトで掲載しました。

今回は「なぜ学びのユニバーサルデザインを大切にしているのか」「どうして公開しているのか」ということを書いてみます。

支援をする立場と支援を受ける立場から

なぜ学びのユニバーサルデザインを大切にしているか。
ダイバーシティやSDGsといった最近の動向ももちろんあります。
ただ、それだけではなく、店主の仕事と経験が深くかかわっています。

店主は、色を教える仕事のほかに、障害支援の仕事をしています。
専門にしているのは聴覚の分野で、要約筆記や手話通訳などの情報保障支援をするのがメインです。
学びのユニバーサルデザインのなかで「手話やチャットで授業できますよー!」としているのは、こういう活動が根っこにあります。

頭を抱えている人の写真

障害支援にかかわるなかで、「障害を理由にサービスの利用を断られる」といった話をよく見聞きします。
「手話通訳をつけてください」とお願いしたら断られたとか。
「介助者が同行します」と訊いたら「では、その人も参加費をお支払いください」と言われたとか。
合理的な理由があるケースを除いて、無下に拒否したり過度な負担を強いたりしてはダメと法律で決まっているのですが、こういった話は残念ながらまだまだ少なくないです。

また、実は私自身も病気や障害などをいろいろ抱えていて、生活するうえでさまざまな困難があります。
そのなかで、「サービスを利用できない・利用しづらい」という経験を、やっぱりしてきました。
「こういうシステムやったら助かるのになぁ……」ということもよく感じてきました。

花弁を包んでいるふたりの手

そういう経験を重ねると、「こういうことはどんどん減っていくほうがいいよね」と思うんです。
障害を理由にサービスの利用を無下に断ることは、やっぱりなくしていくべきだよね。
自分がしてきたしんどい思いは、ほかの人にもしてほしくないな。
あると助かるなと思ったシステムは、もしかしたらほかの人にとっても助かることじゃないかな。
こんな気持ちや考えが、経験と一緒にどんどん重なっていくんです。

なので、自分がサービスを提供する側になったときには「病気や障害などの事情があっても、サービスの利用がスムーズにできるような環境を整えたいな」とずっと考えていたんです。
こういった背景があって、いろ部の活動を始めたときから、学びたい気持ちをサポートする環境づくりを大切にしてきました。

障害や持病でOKなら、ほかの事情でもOKやん

そして、障害や持病に対してある補助やサポートをするのであれば、ほかの事情でも同じような補助やサポートをしたらええやんと、店主は考えています。

例えば、体調に波があるという事情に対して、「調子が悪くなったら、講座を中断する」というサポートをするとします。
この「講座を中断する」サポートは、障害や持病が理由の場合にしか適用してはいけないというルールはありません。
「調子が悪くなったら」が、「親の調子が悪くなったら」に変わっても、「子供がぐずったら」に変わっても、別に問題はないわけです。

階段とスロープの写真

バリアフリーの代表例ともいえるスロープは、階段や段差がつらい人みんなが使っていいんです。
「車椅子ユーザーはOKだけど、自分の足で歩いてる人はダメ、ベビーカーもダメ」なんてことはありませんよね。

心理的なバリアフリーも同じです。
「こういう事情なら、こういうサポートをするね」というよりは「こういうサポートがあるので、必要な人は使ってね」というスタイルだと、より必要な人に届きやすいのではないでしょうか。
そう考えて、いろ部ではこのような形で補助やサポートを提供しています。

事前にわかると、問い合わせなくていい

ほかのサービスでも補助やサポートなどをおこなっているとは思います。
ただ、それをオープンにしているところは(最近は増えてきている気もしますが)まだまだ少ないような印象があります。

どうしてわざわざ公開しているのか?
公開することで、問い合わせの手間が省けるんですよね。

スマホを見ながら困っている様子の人の写真

障害があるんですけれども、こういった配慮はおこなっていますか?
こういう事情があるんですけれども、◯◯の場合は対処していただけますか?
そういったことを、障害や事情を抱えてる人は、なにかサービスを利用する度に問い合わせなければいけません。
これって、すごく面倒なんですよね。

不安なことや配慮してほしいことがある、その度に問い合わせが必要になる。
場合によっては、「こういうお願いするの、申し訳ないな……」「理解がなくて、なにか嫌なことを言われないかな……」という申し訳なさや恐怖も乗っかってくる。
それが積み重なると、どんどん問い合わせるのがしんどくなって、最悪「もうめんどくさい……」と利用を諦めてしまうことにもつながってきます。

せっかく「勉強したい!」という気持ちがあっても、環境が整っていないことで、勉強するための選択肢をなくしてしまうかもしれません。
実際、そういった例も知っていますし、私自身にも諦めてしまった経験があります。
すごくもったいない、機会の消失だと思うんです。

ピンクの背景に指で書かれたハートマーク

そういったことが少しでも減るように、いろ部では「学びのユニバーサルデザインを実施してますよ、困ったことがあったらいつでも言ってくださいね」という声かけをしています。
手間はなるべくないほうがいいです、やっぱり。
安心して申し込みをしていただけるように、いろ部がおこなっているサポートをWebサイト上で公開しています。

ご不安なことがありましたら、いつでもお声掛けください!

いろ部は個人でやっている小さな小さな学び場です。
現状はまだまだ不十分で、ワンオペゆえに至らない部分もあるかと思います。

若葉の写真

それでも、おひとりおひとりとじっくりと向き合い、色を学ぶうえで負担になることをひとつでも取り除いていきたいと考えています。
みなさまの色の学びが安心できるものになるよう、いろ部や店主にできることを精一杯おこなっていきます。
色を学ぶうえでご不安やご心配がありましたら、いつでもご相談ください!